2009年01月22日

朝風呂

朝風呂

我が家の東の端には小さな風呂

朝日がキラキラしていることに気付く日は少ない

今日は主人が出かけた後すぐに娘が寝たので久しぶりに朝風呂にした

朝8時も過ぎると生活の音がにぎやかです

ゴミ収集車の大きな歯が回転する音は何故か懐かしく

すぐ下の駐車場は砂利なので出入りの車のタイヤがあさりを連想させる

窓いっぱい余すことなく入り込む朝日は湯気と絡み合い

大きく吸い込むと冬の冷たい空気と湯気がトリコロールに胸に届く


ふと 洗い場の汚れが気になった

湯船から出ると今度はアタシの湯気と朝日がくるくるとまとわりついて勝手に消えてゆく

大きなたわしでマットをこする

ゴーシ ゴーシ ゴーシ ゴーシ

泡としぶきが 湯気と朝日に混ざり走り回る子供たちの様

少しぬめりのあった床が キュッ とかわいらしく鳴いた

ゴーシ ゴーシ キュッ ゴーシ ゴーシ キュッ

アタシの周りで勝手に 音 や 光 や 水 や 泡 が飛び跳ねては消えぐるぐる遊んでいる

プラスチックの洗い桶を すかっ と握り 片手でザバーっとやった

洗剤の香りと 朝日の香りと 湯気の香りが ぶわっと上へ上る

ザバーッ ザバーッ ザバーッ

最後に自分にも ザバーッ ザバーッ


朝日がもくっもくの湯気をぬうように勢いを増して浴室を埋める

タオルをかぶり伸びをした


娘はまだ寝ていた



posted by 聡子 at 14:48| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月19日

風邪

咳をして 赤い顔の

小さな小さな小さな娘を抱いている

加湿器の 音

小さな明かりの下 揺れる


コンコンコン コホコホコホッ

シューー シューー 

ゆらゆらと揺れる影


昔々のストーブのやかん

カタカタカタ シューー シューー

アタシを抱く母


何故だか母を抱いているような気がした

愛おしく 切ない
posted by 聡子 at 23:59 | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月18日

じゃんぐる

じゃんぐる

何にしても海に出たんだよ

そうそう支度は私自身の歴史が教えてくれた

今まで私の足がついていた地は過去の私がせっせと作った楽園


青い空 白い雲 小さいけれど私の船

何もかもが輝いているなあ


ここでの生活にも慣れた

甲板で洗濯しながら歌なんか歌っちゃって


歌?歌ってなんだっけ?
 
帰らなきゃ。私の楽園へ帰らなきゃ。


目を閉じて頭を振った

波の音がする 太陽の匂いがする 優しい風が踊る 

目を開けると

青い空 白い雲 昼間の月 小さいけれど私の船

なんて何もかもが輝いている


帰らなきゃ?帰らない。

いい?

今からここに美しい新しい楽園を作るよ。

新しい歌を歌おう。

心の歌を歌おう。
posted by 聡子 at 22:50| Comment(4) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月21日

バカバカしい

どんなに輝いて見えても

心の中は冷たい雨が降る

どこに助けを求めればいいのか

瞳の奥は悲しみの火が燃える

大切な人がいて

どれだけ幸せ望んでも

叶わぬ願いのようで

拭えない悲しみは夜の闇を深く冷たく重くする

だけどアタシにはできる

太陽を想像出来る

太陽に照らされた緑を想像出来る

大の字で横たわるアタシやアタシの大切な人達を想像出来る

笑おうバカバカしいけれど笑ってみよう

バカバカしい万歳

尺取り虫がのそのそ歩いている

犬はお尻丸出しで歩いている

ちょうちょなんて酔っぱらいみたいに飛んでる

どこかでアタシの大切な人達が笑っているのを想像して

1人で笑ってみる

バカバカしくて1人であきれたけど

さっきよりなんか楽しいよ

ありがと

バカバカしいありがと
posted by 聡子 at 17:23| Comment(4) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月31日

足跡


まだ足跡をつけた事の無いこの足の裏の持ち主のほんの少しの足跡を

アタシはしっかり見ている

大地からしっかりと受け取り

高い空を見上げ

立ち上がるときを待っている彼女の小さな小さな足跡

いつか長い長い道を振り返らずに進む日まで

その横には大きな足跡と中くらいの足跡が並んでいる事を

ふと立ち止まった時に気が付くのでしょうか


アタシの横にもあったのかしら

大きなのと中くらいの足跡が
posted by 聡子 at 23:10| Comment(2) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月29日

カラメル

ぷるんと1口

上の方から薄く剥がして1口

容器の壁に沿って一気に底まで細長く1口

じわーっと溢れるほろ苦甘いカラメル

もう一度上の方を薄く剥がして1口

溢れ出したカラメルをそっとすくって上からかけて

こらえきれずに大きなスプーンでがぶりと1口

もう1口 もう1口 もう1口

容器の縁に口をつけて最後の汁をなめる

こんな人生を生きられたらなあ
posted by 聡子 at 00:05| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月13日

母乳

人はどうして母乳の味を忘れてしまうのだろう

泣き叫び手足をばたつかせてまで欲したあの味を

満たされた時の幸せと供に


母は覚えているだろうか

私が貪りついた日の感動を

腕の中ですやすや眠ったあの重みを


人はどうして母乳の味を忘れてしまうのだろう

posted by 聡子 at 21:55| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月12日

熱いゼリーみたいな気持ち

愛しているともう一度言わせてください

それが今のアタシにとって本心なのか定かではないけれど

もう一度貴方にそう告げてみたい

貴方と違う世界に出て貴方にどれだけ包まれていたかを知りました

もう一度会いたいです

朝も昼も夜も夜明けもぐるぐると絡まりながら

さらさらのシーツみたく


叶わないから叫ばないけど

届かないから探さないけど

あの日出逢ったあの角から貴方がもう一度現れないかと

この胸は子供の様に痛み子供の様に期待しています


けれどもアタシも貴方も大人ですから

あの角からはもう2度と現れない

どうやらありがとうと言わなきゃいけない時が近づいたようです

ありがとうだなんて言いたくなんか無かったのに

まるでさようならの最上級

ありがとうなんて言いたくなんか無いのに

それに貴方はもうここにはいない

けれど

だけど

それなのに

本当はもう一度愛していると言いたいのに

それなのに

ここからつぶやくわ

届きはしないのだけれど

posted by 聡子 at 00:06| Comment(4) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月19日

春の青空

普通の女の子が思うように ギュってしてもらいたいのに

せめて声と記憶だけでいいから 今、、、



部屋も空も街も空気や水も バランスとれない、、、 

、、、壊した

貴方の幸せ願うのがこんなに 苦しいのよ


そうして別れを選んだ過去は 結局ぬるま湯へただ流れ込んだ

アナタの温度とアタシの温度が 湖のように混ざって波は消えた


抱いて抱いてと伸びたがる腕を どれだけ切り落としてしまおうかと

会いたい会いたいと叫びたがる喉を どれだけ焼いてしまおうかと





真夏の波に揺られる夢の夜 歌声は届かないのに

太陽が影を連れて来るなんて 気付きもしなかった


瞼を下ろして笑って見せるわ 消えてく体の温度を確かめて

アナタの涙とアタシの笑顔が 写真みたいに止まって色は褪せた


抱いて抱いてと伸びたがる腕を どれだけ切り落としてしまおうかと

会いたい会いたいと叫びたがる喉を どれだけ焼いてしまおうかと




海に流れ 雲になって 空に帰り また雨になって

海に流れ 雲に戻って 空に帰ったアタシは今どこまでも流れて行ける

そう誰かの心に優しさを残す春の青空で もう少しだけいたい 


空高く 

もう少しこのまま抱かれて
posted by 聡子 at 22:39| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月15日

風のように

流星と瞬きと煌めきの音を聴く
静かな暗闇が騒々しい事を忘れはしないよ

目を閉じて舞い降りた薄紅の月夜に
さわりさわりかさりふわりふわ風に舞う小さい温もり

また新しい日が朝焼ける空から大地へと
伝わるリズムに耳澄ませ声を聴いた
生まれ来た日の事忘れないで風のように生きる

動けずに行く先も分からず座り込み
一人きり決めた道後ろにも行けない 孤独に生きても

瞳閉じて 声聴こえるまで脅えないでいいの
風や大地教えてくれる心の声を
耳を澄ませていよう この地球の声がするよ

声聴こえるから脅えないで 目を閉じれば始まる
新しい日が朝焼ける空から大地へと
伝わるリズムに耳澄ませ声を聴いた
生まれ来た日の事忘れないで風のように生きる
posted by 聡子 at 12:16| Comment(3) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする