2009年10月26日

ヴィックスの手

咳で眠れない日々
朦朧とする中
加湿器が発する色々な音が
まだアタシの時が流れていると教えてくれる
子供の頃ガサガサと母が塗ってくれたヴィックスを自分で塗って
ちっとも嬉しくないと思った
ベタベタとして気持ち悪いのを我慢する価値が
母の手にはある

今度会った時にそう言ってあげよう
忘れないように言葉に出さなくちゃ
すぐに伝えなきゃ
posted by 聡子 at 22:05| Comment(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月20日

さようなら

卒業アルバムのような
ふわふわの表紙の思い出を
一枚一枚見終わって
静かに閉じる

そうする事がきっと終わりのやり方

たくさんの思い出でぽかぽかの胸だけで
後は何も持たずに

ありがとう
という笑顔が残せるのが理想だな
posted by 聡子 at 21:27| Comment(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月19日

雨の朝の綿の夢

摘んだばかりの綿は
焦げた太陽の匂いがする
まだ眠っているような目覚め
優しい目がずっとこちらへ向けられていた

微笑んでもう一度目を閉じると

今度ははっきりと朝が来た
柔らかい羽毛の布団には
白いアタシの腕だけが見えた

コーヒーが飲みたかったけど
少しの吐き気と
冷たい雨の音が
アタシをぬいぐるみに変え
天井を見るでもなく見上げ続けさせた

もう一度目を閉じても
摘んだばかりの綿の上には
もどれない
posted by 聡子 at 22:07| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月05日

手に入れるということ

公衆電話だったね
長電話を叱られない為に
あの桜 大きくなったでしょう

すっかり大人のつもりで
細長い指 ふたり合わせていた
ふたりだけの秘密にしておきたかった

あの家に降る星空が
世界で一番奇麗だと
今でもそう思ってしまう

叶わない夢なんてない 眩しいくらい遠く光るけれど
夢中で追いかけて ずっとずっと走って 
また新しい夢に向かって生きて走って

叶わない夢なんてない ぎゅっと掴んだ日を忘れはしない
どんな涙より 溢れて止めたくもなかった
それは失ったものの分も一緒に 流れ続けてた

posted by 聡子 at 22:08| Comment(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月03日

満月

月の奇麗な夜に生まれ

月の明るい夜に結ばれ

満点の星空の中に眠りたい
posted by 聡子 at 21:56| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月01日

もう一度会いたい人へ

昼下がりに
知らない河川敷をドライブして
あの人は毎日こんな景色を見て生きているのかな
なんて思ったりして
会いたくても
もうきっと会えない人も
いるんだな

高い所に金に光る雲との距離全部
胸に飛び込んでくるような
苦しいような
美しいような
そんな秋が広がっていた
posted by 聡子 at 22:17| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする